トリックスター

人魚の眠る家のトリックスターのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
4.0
「人は二度死なない」

篠原涼子さんのこのセリフが心に突き刺さった。
誰も責めることのできない展開。
一人一人が抱える葛藤と言葉に出来ない感情。

「いつだって欲望が人類を進化させてきた。だが、人が踏み入ってはいけない領域がある。お前はそこに踏み込んだ」

田中泯さんのセリフも深かった。

脳死という踏み込みにくい倫理の問題。東野圭吾の切り口が鮮やかで、そしてやけに胸が苦しくなりました。

「生」というものはいかに人を縛るか。

最後の追い込み、西島さんと篠原さんの掛け合いが切ない。
普段映画で泣かない私が、自宅でボロ泣きしてしまいました。

それにしても松坂慶子さんは自分の存在感を消して役者を引き立たせるのがお上手というか…感服です。
川栄さんも良い存在感でした。
役者陣が素晴らしかったです。良い時間を過ごせました。