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1987、ある闘いの真実のhiyoriのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
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実際の映像や写真も流れるのでかなり辛いものがあるけど、観て良かった。忘れない・繰り返さないためのエンタメ(映画)の力を信じているような作品だった。

それぞれの場所にいる市井の人々や、一部公権側にいる人々が、それぞれに人権や自由や法による正義を信じて行動する姿を描くことによって、民主主義の地平を見せているところがすごく良かった。
点と点である市民を(直接の繋がりはなくとも)線で繋いでいくようにして民主化運動を描く物語のつくりは、民主主義を自ら勝ち取ってきた韓国の人々が描く民主主義の本質だと思う。

そして、隣国が辿った歴史としてだけでなく、今ここにいる私にも通じる物語で、国民主権の原則や、権利も自由も国民の不断の努力によって守らなければならないものであるということを、強く再確認するような映画でもあった。
日本でも、最近だとストライキやインボイス制度反対の運動に対して、「迷惑」だと言ったり冷笑するような人たちがいるけれど、そういう姿勢はあなた/私自身の首を絞めることを忘れずにいたい。
あとやっぱり報道の自由や、報道が正しく機能することって民主主義の土台だよね……。

これだけの役者が集まって、実在の人物・出来事をベースにして(いるからこそより一層作り手の姿勢が問われるはず)、明確な政治的メッセージを持ちながらエンタメ作品としてこれだけ見応えのあるものを作り上げられるって凄いことですよね。
もの凄い映画を観た!!!!!!!
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