フクイヒロシ

1987、ある闘いの真実のフクイヒロシのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.5
こんなにも重い政治的な実話を題材にして、129分間ずっと映画的な面白さを持続できるとは!

情報量凄いし、登場人物も多いのに、話がスルスルわかるし、1人1人の立場と心情の変遷もよくわかる。

韓国映画は、コメディとラブとカーアクションとゴアのてんこ盛りが特徴でそれは諸刃の剣でもあったけど、
近年ではバランスもとれるようになっちゃってるからもはやとんでもない領域に。。

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コメディやラブで息抜きさせてくれるけどそういうシーンはサッと引いて「そんな映画じゃねぇから(巻き舌で)」ってな感じで、現実の地獄描写を弛みなく最後まで。。

キム・テリ(『お嬢さん』)が物のように車から捨てられるシーンがあるけど、カメラの切り返しもないので本人がやってんのかいな。。おそろしい子。。


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ラストは感情的すぎて
「ちょっと熱くなりすぎだなぁ…」とさすがに引いちゃったけど、
エンドロールに流れる実際のニュース映像の方がもっと衝撃で感動…。

映画はちょっと抑えてるくらいだった。。
映画でやると嘘っぽく見えるから抑えたのかな。

ちょっとぬるいと思っていたスニーカーのエピソードも、エンドロールで写真が出て来ると「もう無理。。」と涙を我慢できない状態に。。


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史実ではないエンタメ要素としてのシーンはちゃんと「これは創作ですから」とわかるように他のシーンとちょっと雰囲気変えてるのも誠実。

拷問シーンは本当なんだなと思うし、教会でのアクションはまぁ創作だわなとわかる。


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こんなにも反政府的な映画をよく撮れるなぁ、韓国すげえなと思っていたけど

韓国映画『1987、ある闘いの真実』チャン・ジュナン監督インタビュー https://tokushu.eiga-log.com/interview/11770.html

これを読むとかなり秘密裏に制作が進められた模様。。
そんなヤバイ映画にオールスターが出演して、しかも特大ヒットとは。。

この映画自体が「闘い」。

しかもエンタメになってるって、、もう本当に、困ったもんですよ。。