エンドロールを眺めながら、体の中で形容しがたい力のようなものがザワザワと動き出すのを感じた。
哲学者マルクスとエンゲルスの若い頃の話。
これは彼らの伝記映画ではないと思う。人間が自分たちが産み出したものに苦しみ、それを解消してより良い世界に変えようと励んで来た歴史のサンプルとして彼らはこの映画に取り上げられているのではないか。
19世紀半ばの数年を描いた映画だが、その数年だけでなく、それから現代に至る歴史を感じた。そこに人間のポジティブな力を感じ、ザワザワした。
映画の舞台ドイツやイギリスの当時の人びとの服装や街や暮らしの風景、特に貧しい人たちのそれらに関する美術に惹かれた。時代考証としてどうなのかは全く分からないが、今とは異なるその時代が表され、タイムトラベルを楽しんだような気分になった。