最後の決闘裁判に続き、重い映画を観てしまった…。
この映画で描かれている万引き家族は、日本の貧困の縮図のようである。
海外の映画でこれと似たような事をやられてもピンとこないが(韓国映画のパラサイトとかね)、これはもう隣り合わせの現実なので、もしかしたらご近所さんが近い生活をしているかもしれないリアリティーがある。
核家族となり、近所の人が何をやっているのか、分からないのが現在の日本。
昔はご近所付き合いがあって、家族構成とかいろんなことが分かっていたけれど、お隣さんですらちゃんとはわからない。
自分は町内会の仕事に少し関わるようになって、ようやく近所にこういう人たちがいるのかー!!って知りました。
やっぱ近くにどんな人がいるのかを知っていることは大事だと思う。
こんなごちゃまぜの家族が周囲にいたら流石に怪しさ満点だとは思うけど、民生委員の人は樹木希林が一人で住んでると思ってる。なんかもう怖さすらあった。
さて、物語はひとりの少女を万引き家族が保護するところから始まりますが、これがラストにしっかり繋がってきます。
少女を保護することが幸せなのか、家族の元に帰すことが幸せなのか、なんとも難しい選択を迫られます。
しかし実際にDVが起きている家庭内に帰すのはなんともなと思いつつ、何も警察に相談しなければそれは「誘拐」になってしまうんですよね。
家族の絆とは何か。
全編を通して訴えかけてきます。
きっとただ楽しく幸せに生きたいだけなんですよね。
だけどそこに資本主義社会のルールが重くのしかかってくる。
今の日本はルールに則っていて、生活に困らない収入があれば何の問題もないけど、そこから逸脱してしまうと、いきなりルールにハマらなくなり、生きづらくなってしまうという復活がムリゲーレベルになる国。
復活の難しい人たちが増えていくと、国はジワジワ衰退していくのではないかと危惧している。
息子くんがなぜ万引き家族に加わったのかの件は、もう何というか…そういう行動を取らなければ死にも繋がっていたと考えると、果たして正義って何かね?って首を傾げてしまうよね。
正論じゃ片付かないよ。
リリー・フランキー、安藤サクラの演技が自然過ぎて流石だなと思う。惹き込まれる。
全体を考えると松岡茉優の役どころはいなくても成立したなぁ…という感じがする。あんなに体当たりで演じる意味も、そこまでなかったなぁ。。
なぜあの家族の元を離れているのかもよくわからなかったし…。。
日本の観たくない現実を切り出した、是枝監督の渾身。
日本人として一度は観て欲しい作品です。
賞を取ったのも納得でした。