このレビューはネタバレを含みます
公開された時からずっと気になっていてやっと見られた。
完璧。その一言に尽きる作品だと思う。「映画」というよりも、「作品」。
半分以上かけてこの家族にのめり込まされたところで、社会の現実を突き付けてくる感じ、「ちげーよ、お前らに何がわかるんだよ。」とこちらに思わせてしまう感じ、終いには「正しいことするのがそんなに偉いのかよ。」と思わせてしまう感じ、とっても上手だなと思った。
翔太くんと面会してる時のお母さんの顔が誰よりも「お母さん」で本当に泣けた。
呼ばれ方を尋ねられて、「なんだろうね。」って涙を流してるシーンに戻って、抱きしめて、「大丈夫。あなたは誰よりもお母さんだから。」っていっしょに泣きたい気持ちにさせられた。
おばあちゃんを埋めるところで貧困について嘆かずをえず、けれど、お金を見つけて喜んでいる夫婦を見て複雑な侘しさを同時に感じずをえず。
雪だるまのシーンで嬉し涙を流しつつも、男の子のさようならに淋しい涙が止まらず。
最後の女の子のシーン、私はあの柵から大声出して誰かを呼ぶか、飛び越えて逃げるか、もしくは死ぬかなのかな、と思った。
助けを求める方向性なら、「信頼という経験の重要性」を証明してくれている気がして希望だなと思うけれど、それも「そう思いたいだけ。」なのかも。
俳優さんたちも綺麗にハマりすぎていて怖いくらいだった。
特に、安藤サクラさん。「(女の子のこと言ったら)殺すよ。」に本気な怖さがあって、蓋開けたら本当に人を殺してるところとか、鳥肌が立った。
ただ、とにかく全員が良かった。強いて言えば、聞き取りの女警察官?の人がちょっとわざとらしすぎると感じてしまったくらい。
はじまりも終わりも最高。観る人に考える隙間を与えているところまで含めて本当に完璧。
少し時間が経ったら、もう一度見直したいな。
その時私はもう一度、この家族を「家族」だと思えるのだろうか。