家族の在り方。
【感想】
「家族とは何か?」ということを非常に考えさせれる作品でした。もちろん血縁関係の面が大前提なのかもしれないが、「居心地の良さ」というのも大事な要素であると思いました。登場人物の生まれた環境を考慮すると、「安全」という言葉の方が適切かもしれない。
だけど私はやっぱり家族といる時が一番落ち着く。
心の底から笑っていられるような気がする。
暴力に苦しみ、家出をした少女の面倒を見ようとする。あまり裕福な生活をしているわけでもないにもかかわらず、何のためらいもなく家へと連れて行く。
彼ら夫婦(?)は、幼少期に彼女と同じ思いをしたのか、見ていてほっとけなかったのだろう。そんな子を見ると人間誰でも可哀想だと思うが、なかなか家に連れ込む勇気はないと思う。
リリーフランキーと安藤サクラの話し方は下品で、だらしなさもあったが、そこには確かに優しさも見えた。子供達にとっては暴力を振われないだけで居心地の良い場所になっていたのだろう。
万引きが犯罪であることは知っているが、彼らが平然とそれを行なっているのを見ると、「自分と違う世界にいるんだな。」と壁を作ってしまった。
最初は軽蔑していたが、それは私が彼らよりも裕福な家庭で生まれたから言えるのかなと、完全には否定できない。
もし自分が逆の立場だったら、同じような行動に走らざるを得なかったかもしれない。
要するに、今の自分の立場から彼らの気持ちには寄り添うことはできない。ここで良い事を言ったとしても、全てが偽善に聞こえてしまうから。
だけど、たとえ犯罪だとしてもあの家族は子供を見捨てずに、優しさを与えて育てたことは人間として尊敬できる。
だから、今まで家族に優しく育ててもらえたことに感謝しなければならないと思えた。
2025年 32作目