ショー

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWNのショーのネタバレレビュー・内容・結末

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

幸せと自由は相反する。

【感想】
これまた難しい作品でしたけど、その難解さを理解するまでが映画の醍醐味とも言える。これだから、アカデミー賞作品を観るのは止められん!!

反社会(政府)を謳うボブ・ディランの曲は、一般市民から多大な注目を浴びるも、彼は幸せな表情を見せない。なんでだろう?

最初は、思いつきのように社会を批判する音楽を作っていた。当初はそれほど注目を浴びていなかったが、その歌詞にはしっかりと彼の気持ちが込めらていて、何よりも音楽を作るのが楽しそうだった。プライベートも恋をするほど純分満腹だった。

しかし、多くのファンが彼に付いたことで、観客に歌う曲をセレクトされてしまう。
「ボブのあの歌が聴きたい。」
観客に応えてしまうと、曲は限定される。それに応えるのも、会社の利益のため。

だけど、彼は新曲を歌いたい。なぜなら彼が歌い続けるのは、「社会を変えるため。」であるから。そのために、彼の今の気持ちを乗せた新曲を多くの人々に聞かせたい。だが、観客はそれを望んでいない。

そして、1人の愛する女性とも距離が生まれていく。大勢のファンが彼を求めているから。ボブに見合った女性になるのは荷が重すぎると。有名になるにつれて、自由が損なわれていく。社会を批判し続けた彼は、この先も社会の言いなりになって「ボブ・ディラン」という名前を持って生きていく。
それを否定するために、彼はノーベル賞授賞式に参加しなかったのだと思う。また、楽器の音量を上げて演奏したのも、そのためかと。

そして、彼はこう思っただろう。
「病室でハーモニカを吹いてた頃の、あの"名もなき者"に戻りたい。」のだと。

"音楽は多くの人々を幸せにした。同時に音楽は人の自由も奪った。"

そんなことを謳ってる作品だと感じました。


2025年 43作目
2025年 映画館 12作目
ショー

ショー