色艶よくきちんと箱に収まる野菜を効率よく生産するような世の中でしょ。型にはまらなければ放り投げられてしまう。誰しもがいつどこで規格外とされるかわからないのにね。
あの家族は4番さんに同じく声を発せない人たち。声を聴こうとしない人にはその言葉は届かない。
目を凝らし見ようとしなければ見えないものを映し出すのが映画の良さでもあるでしょ。映画館で希望を持ち帰りたいという人も多いだろうけど、私としては是枝監督がこの作品撮って、目に触れにくいものを届けようとしてくれたこと、それが何よりの希望です。
パルムドールはイ・チャンドンに受賞して欲しくて、『バーニング』も本作も観てもいないのに、これがパルムドールって聞いてちょっとがっかりしていたのだけど、でも後半、万引き家族ってイ・チャンドン『オアシス』のファミリー版だ！って思ったところでこの家族のこととても好きになっていた。
私の周りでは万引きする家族の生活が重苦しくて息が詰まるっていう人が居るけどそういう見方もあるのかな。私全然でむしろあの人たちにとってのあの日常はオアシスなんだって感じたんだ。
役者さんたちの演技も細野さんの劇伴もとてもとても良かった。
改めてパルムドールおめでとうございます。
