このレビューはネタバレを含みます
血のつながりのないバラバラの家族はそれぞれの事情を抱えながら、暮らしている。
殺人、虐待、ネグレクト、誘拐、窃盗。
彼らは一つ屋根の下、互いに家族ではないことを理解しながら、その日暮らしをしている。
つまるところ、彼らの幸せは血の繋がりのある家族との再構築なのか?ということに収斂している。なんてことはない。彼らの生活はそれぞれの寂しさをエゴのように抱えながら寄り添い合っているに過ぎず、それは本来の意味での幸せではない。
例えば、あの生活の末に少年と少女にマトモな人生は待っていたのだろうか?
窃盗しか知らず、集団生活に馴染めず、学もない彼らに待っている幸せはなんだろうか?
それは負の連鎖でしかない。
家族再構築が目指される社会における大人になりきれない大人たちの教育は誰がするのか。物語の本質は現代社会の課題そのものだ。