いさましいちびのこなやぎ

ラジオ・コバニのいさましいちびのこなやぎのレビュー・感想・評価

ラジオ・コバニ(2016年製作の映画)
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タイトルロールの、「これは皆のための歌です」という曲紹介から入る明るい音楽と、そこへ俯瞰で映し出される瓦礫だらけの白い街を見たとき突然胸がいっぱいになって涙が溢れてびっくりした。社会学を専攻していたアレッポ大学の学生キコは戦争によって学びを断たれ、一旦は戦火に追われてコバニの街を離れる。戻ってきたコバニで彼女が始めたのはラジオ局。凄いのはこれが実話で、キコが実在の人物であり、国外から危険を冒してコバニへ入ったクルド人監督によって撮られたドキュメンタリーだということ。最初は戦士たちを鼓舞する音楽を流すためだったとパンフレットにあったが、確かに彼らは男女問わず皆闘争心に溢れていて強い。キコの声も伸びやかで花があって、何と言っても強い。だけど彼女たちの「強くあらねばならない理由」を思うと泣けてきてしょうがない。彼女たちにずっと幸せでいてほしいと思った。こんな気持ちになった映画は初めて。