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天才作家の妻 -40年目の真実-のtsuyocinemaのレビュー・感想・評価

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【天才作家の妻 40年目の真実】
文学界の巨匠ジョゼフがノーベル文学賞を授与されることになり、ジョゼフと妻ジョーンは息子を伴い、ノーベル賞の授賞式が行われるストックホルムを訪れる。しかし、そこでジョゼフの経歴に疑いを抱く記者ナサニエルと出会い、夫婦の秘密について問いただされる。実は若い頃から文才に恵まれていたジョーンは、あることがきっかけで作家になることをあきらめた過去があった…主人公のジョーンをグレン・クローズが演じる。

タイトルがまんまなのでネタバレではないと思うのだが、結果世界を欺くことになる「アレ俺詐欺」もしくは佐村河内のFAKEを題材に女性の才能が正当に評価されない社会と夫婦にしかわからない愛がテーマになっている。


1つ目のテーマに関して、くだらないバイアスや慣習でどんな人だろうが才能、能力が正当な評価がなされない、最適分配されないことが我慢ならない私としては、ジョーンが溜め込み、包み隠してきた感情を察して100%彼女側の視点でこの映画を観ていた。
スター小説家を決めるのも男たちの胸三寸という男社会って本当クソだなぁーと思うし、これが昔話でないのが辛い。
誰の味方のつもりもないけど、このテーマに関してはもうやめません?って思ってしまう。

2つ目のテーマとしてジョゼフとジョーンズにしかわからない夫婦の愛に関して、ジョゼフは妻に限らずコントロールフリークで気が多くて、見栄っ張り。
クールなジョーンズは彼を嗜め、自身の感情は押し込めてキングメーカー(作中出てきた内需の功的意味)に徹する。
夫婦を超えた共犯関係を持つ2人の間に愛が存在しなさそうなのだが、節々に感じる2人にしかわからない喜び、感情を押し殺してでも継続したいこの関係、または真の感情を共有するベッドでのはしゃぎっぷり、ノーベル賞後のパーティーのスピーチではほぼほぼ本音を言ってた。2人しか伝わらない言葉…
この夫婦に限らず夫婦愛は苦労を共にした共犯関係からも築き上げられるものなのかと感じた。
1つ目のテーマに戻るが、ユニットで作品を発表出来る関係、社会であればよかったのに。

ジョーン役のグレン・クローズの堂々たる演技は圧巻の威風堂々とした傑作!
にもかかわらずとりあえず食べ物であらゆるトラブルを解決しようとするトンマなジョーンズなどのコメディー要素もしっかりあり!
そういうとこも傑作!
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