オカ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのオカのレビュー・感想・評価

4.4
ハリウッドで実際にあった殺人事件をタランティーノが映画にすると聞いて、どんな凄惨な映画になるかと思っていたけど、ストーリーは意外なほど平坦。
中盤までは、ハリウッドに生きる人々の生活に焦点を当てることで当時の雰囲気を存分に体感させるような作り。
何も起こらないようだけど、1969年からある店や劇場がそのまま出てくることで当時のハリウッドの色彩や時代の空気感がひしひしと伝わってくる。
西部劇から転換しつつあるハリウッドにしがみつこうともがく人、これから明るいキャリアを築こうとしている人。第二次世界大戦が終わってベトナム戦争の最中という、時代の隙間のような時期だったのかな、とか思ったり。
そんな明るくも見えるハリウッドだけど、危険は急に身に降りかかるもので、ブラピ演じるスタントマンのクリフがマンソンファミリーと邂逅するシーンは何も起きてないのに緊張感があるという、まさに西部劇の不穏さが表れていたと思う。
ここまで何も大きな出来事が起こらないので、いよいよ事件が起こるまですっかり忘れていたけどこれもれっきとしたタランティーノ映画。
事件が起こってからはやりすぎなくらい残酷な描写のオンパレード。もはや残酷とかじゃなくて大はしゃぎしているように見えてくるレベル。
着地としてはものすごくあっさりというかシンプルな結末だけど、実際に起きたことを知れば知るほどタランティーノがこの映画を「何が起きたかを描く映画」ではなく「そこにどういう人が生きていたか」ということを描く作品にしたかったのだろうな、ということを感じる映画だった。
オカ

オカ