YuriM

ヒトラーを欺いた黄色い星のYuriMのレビュー・感想・評価

ヒトラーを欺いた黄色い星(2017年製作の映画)
5.0
フランクルの『夜と霧』を読んだ時のような衝撃と高揚。同じ時期のユダヤ人を描いているのだから、当たり前と言えば、当たり前なのかもしれないが、若者達のよりリアルな緊張と血潮が感じられる仕上がり。

正体を知られれば強制的に送られ、殺されるという極限の緊張状態で、淡々と日々を生きた人の実話。感動した、スリリングだった、というありきたりな言葉でまとめてもいけないが、ただ悲哀ばかりが満ちているわけではない。

場所を転々としながら、時に親切な人に出会い、日常の中に小さな喜びを見つけながら、孤独と恐怖に負けず淡々といつも通りの生活を繰り返す。生への執着、そして祈りの言葉。

生きるか死ぬかは本当に運次第だったのかもしれない。けれどこうして、彼らの命すらギリギリのところで、語り継がれた言葉がこういったあたたかい映画になってくれて良かった、と心から思った。
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