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エンジェル、見えない恋人のqiricaのネタバレレビュー・内容・結末

エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この物語は人の目には見えない少年、エンジェルの視点で終始描かれている。

ものが宙に浮かんだり、まばたきをするときに暗転させたり、ぼやける景色を鮮明に映したり、撮り方が好きだった。
盲目の少女が、私はどんな風に見える?と聞いたときに、赤毛のなかに透明があって、背景が透けるような輝き。ほっぺはローズの色。と少年が伝えるシーンにキュンとした。
ヒロイン、マドレーヌはとにかく美しい。
絵に描いたような身体。

目が見える母と、視力を手にした少女が鏡を見て、別の誰かを見ているよう。鏡は人を冷たくさせる。と呟く台詞と、鏡に映る人が自分だと認識する少女の演技がとても印象的だった。


「視力が戻れば僕は消えてしまう。」

盲目だった頃は匂いやカタチ、声で少年の姿を見ていた少女は視力が戻り、青年エンジェルの姿が見えないことを知る。
床にひざまずいて泣き崩れ、疲れて寝てしまうマドレーヌに枕と布団を与え手紙を添えるシーンは本当に切なかった。
エンジェルの送った手紙のなかに、君が誰かと幸せになることが僕の心の支えだ。と書かれているが、これほどに切実な愛を表す言葉を私は知らない。


素敵な魔法が散りばめられている美しい純愛ベルギー映画。
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