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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のhatoのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

はみ出し者が多いガーディアンズの中でも、特に自己肯定感が低いようにみえたロケット。その理由は自分の存在・生い立ちに加えて、自分の行動のせいでライラ、ティーフス、フロアを死なせてしまったからだった。

ロケット周りの場面が辛すぎて。初めて話した言葉が「痛いよぉ」って...泣。あの小さい体であんな過去を背負っていたとは。
いや、過去だけじゃない。ライラたちを失ってから出会ったグルートも失くし、さらにはその子どもを含めたガーディアンズ全員まで。あの過去があったと思うと、全てにおいてさらに辛さが増す。

臨死体験でライラと会えた時の、ロケットの言葉に全てが詰まっていた。後悔も、罪悪感も、自分を卑下する気持ちも。あそこで泣かないやつおるんか?

そしてこの作品で一番良かったのは、泣ける展開をそこまでにして、後は最強に暴れ回る作品へ切り替わったこと。
あんなに多くの主要人物がいながら、「人物の成長」なる部分のほとんどを「自分・他人のありのままを認める」ことが占めていたのも好きだったなぁ。
今までの自分を超えるような、意識の高い成長を遂げたのってクラグリンとアダム、せいぜいマンティスぐらいでは?クイルは落ちぶれ度がすごかった分、そこにも当てはまるだろうけど。

ドラックスはデストロイヤーとしてではなく、根っからの父親としての活躍を。最後にはマンティスの独り立ちを見送り、ダンスを踊るように。

ネビュラは5年間一緒だったロケットのために奮闘し、助かったことを知ると涙を流したり、ドラックスの良いところを認めたり、出されたジュースを美味しいと言ったり。怒りっぽいけど隠れた素直さが光っていた。

ガモーラはクイル含めたガーディアンズへの印象を新たにしながらも、クイルや別時間軸の自分に合わせることなく現在の自分の在り方を大事にし、最後は自分の居場所へと帰っていった。

個人的には、内面描写があまりなかったグルートの存在も大きいと思っていて。二代目グルートはガーディアンズに育てられてきたわけで、産まれてからずっとガーディアンズの背中を見てきている。
そんなグルートがアダムを助けた。そしてそのアダムがクイルの命を救った。親個体やIWでの行動を見るに元から優しい性格なんだろうけど、一からガーディアンズの中で育ってきた、言わばガーディアンズの結晶がリーダーのクイルを救ったという最終作として完璧なかたち。
てかピラミッドに乗り込んだ時の、クイルと一緒にいる画だけでジーンと来るもんね。もう親心よ。

そしてロケットには後悔や罪悪感こそあれど、嫌いだった自分という存在は割と乗り越えていたと思う。ライラたちに謝ることができ、「ラクーン」を名乗るという区切りを今作でちゃんと描いたというだけで。
今作の一連の流れが、ロケットを助けるための任務や、復活したロケットの姿勢から生まれているというのがなんとも感慨深い。

多くの命を救いながらも、好きに暴れ回るクライマックスが最高だったな。特にあの長回しアクションシーケンスは、GotGシリーズだけでなくMCU全体でもトップレベルにブチ上がるシーン。一作目のようなさらりとした質感と、vol.2の湿っぽさを兼ね備えた最強の映画だった!

あのロケットがリーダーを務めるガーディアンズなら、もう心配はいらない。
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