三四郎

焼肉ドラゴンの三四郎のレビュー・感想・評価

焼肉ドラゴン(2018年製作の映画)
1.0
2時間あるにもかかわらず、表面的で中身の薄い印象を受けた。深みと奥行きがない。これは映画ではなく2時間ドラマだ。在日朝鮮人の描き方で最も印象に残り心揺さぶられたのは清水宏の『有りがたうさん』(1936)。ほんの短い時間しか登場しないチマチョゴリを着た朝鮮娘の言葉、哀切、それでも前を向き皆(朝鮮人労働者)と一緒に歩いて行こうとするその姿、脳裏にしっかりと刻まれている。
『パッチギ!』にしても『焼肉ドラゴン』にしても、どうも描き方が雑に思える。在日朝鮮人の描き方に正解、不正解などないことはわかっているが、どれも「人間」を描いていない気がする。在日朝鮮人の人々は、こういった映画をどのような思いで見ているのだろうか。そして、日本人の描き方も一辺倒でつまらない。

唯一良かったのは説明過多ではなかったところ。
時生が「あー!」しか言えなくなってしまった理由を物語の流れの中で理解できるように描かれていた。母親が「昔は明るくてよく喋る子だったのに」と心配する場面や学校でいじめられる場面、学校を休み空き地で棒切れを振り回し一人で見えぬ敵と格闘する場面、少年が精神的に苦しめられているのがよくわかった。それでも父親は学校を変えることを良しとせず、逃げてはいけない、日本の教育を受けさせ、日本で生きていかねばならない、とする。その親心と在日ゆえの厳しさを…妻にも、息子にも、己にも言い聞かせているようだった。

「太陽の塔」を渡すと思ったら、ほんまにそうだった。想像通りだと楽しくもあるがつまらなくもある。ナレーションが亡くなった息子というのが、変則的だった。
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