ちろる

マローボーン家の掟のちろるのレビュー・感想・評価

マローボーン家の掟(2017年製作の映画)
4.0
死に際の母に教えられた5つの掟。
それが何を意味するのかも、破るとなにがもたらされるのかも分からないまま、残された『子どもたち』はこの薄暗い大きな屋敷に肩を寄せ合うしかない。

不気味なお屋敷ホラーに見せかけて実は・・・?
『永遠のこどもたち』のJ・A・バヨナ監督が製作総指揮を務め、同じく脚本を手掛けたセルヒオ・G・サンチェスが監督となっていて、
やっぱりスペインのホラーはなかなか手が混んでて面白い、決して怖いわけではないけどヒューマンドラマとしてしっかりと作られている。

ジョージ・マッケイが、この謎に包まれたマローボーン家の子供たちの長男ビリーを演じる。
人との交流を一切絶っている彼らにとって唯一「下界」との信頼できるハブになるのが森で出会った魅力的な少女アニーをアニャ・テイラー=ジョイが演じ、年頃であるビリーの唯一の癒しとなる。
追い詰められて、追い詰められて、隔離された生活に限界が来てしまうことでついに掟を破らなければならず、やがては隠されていた父親の秘密が恐ろしい形で顔を出す緊張感は相当のものですが、このお話の肝はそもそもそこではなかった。
途中から度々現れるビリーたち「きょうだい」への違和感。
奇妙な伏線の数々がまさかそんな秘密へと誘うのだとは・・・
なんともやるせ無い物語ではあるけれど、
果てしない孤独と苦しみの果てに見出したビリーの生き様とそれを全て受け入れるアニーの決断には妙な安堵感を覚えてしまう不思議な感覚後味でした。
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