Finn

ゴッズ・オウン・カントリーのFinnのレビュー・感想・評価

3.8
"God's Own Country(神の恵みの地)"と呼ばれるイギリスのヨークを舞台に、1人の青年の成長と愛を描く作品。
ようやく観ることができて嬉しい!

ヨークは個人的に大好きな場所で、ヨーク訛りが懐かしかったです。
ヨークのcountrysideの自然が美しく切り取られていて、映像も楽しめた。

ゲイのラブストーリーというのももちろんこの作品の重要な要素だけど、主人公ジョニーの成長がテーマだと思う。
田舎で祖母と身体が不自由な父親と暮らし、家の農場の仕事を1人でやらなければならず、心を許せる友だちもいない。空虚で何の感情も見せないジョニーが、ゲオルゲと出会って愛し合うことを知り、笑顔や怒りや涙を見せるようになる姿に感動した。

お父さんとおばあちゃんがジョニーに厳しいのは、ジョニー自身があまりに子供っぽくて、やる気もないし何考えてるか分からなかったからだと思う。ジョニーが変わったことで、お父さんにも認められて良かった。

監督が「真実」にこだわり、主役の2人は撮影前に農場で働いて役作りをし、劇中の羊の出産シーンや死産した子羊の皮を剥ぐところも実際に行なっているそう。
また個人的に、障害のあるお父さん役のイアン・ハートが素晴らしかった!特に倒れた後の話し方とか間とか、本当に麻痺が残った人のリアルさが凄くてビックリした。
映画って作り物だけど、やっぱりリアルな描写は観る人の胸を打つなぁ。

ジョシュ・オコナーはドラマ「クラウン」の若かりしチャールズ皇太子役で知ったけど、ちょっとハッキリしない青年役が似合う(笑)
セクシュアリティ関係なくラブシーンは苦手だけど、この作品に出てくるラブシーンはジョニーの感情の変化を理解する上で全てが必要なものだから、不快に感じることなく自然に観ることができました。

「英国版ブロークバック・マウンテン」と言われる本作だけど、ハッピーエンドで希望を感じるラストで救われる。
繊細で素晴らしい作品です!
Finn

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