chip

ゴッズ・オウン・カントリーのchipのレビュー・感想・評価

4.2
イギリスの田舎の農場で…
祖母と身体が不自由な父と暮らすジョニー。
口うるさい父は、いつも眉をひそめ、しっかり仕事をしろ、と。
どんよりとした灰色の空の下、独りで仕事をする彼。
酒を飲んで気を紛らわす日々。。
彼の目は、いつも怒りを含んでいるように見えた。

祖母も父もジョニーも、にこりともしない。
厳しい自然のヨークシャー地方で。

手伝いとして雇われたルーマニア人のゲオルデ。
移民を嫌い、最初はひどい態度のジョニー。
でも、彼の仕事の手際の良さや優しさに、次第に心を開き…

初めて彼らがひとつになった時、
翌日は青空でひこうき雲がくっきりと現れた。
ジョニーの気持ちを映すような青空だった。

そしてぎこちない笑顔を見せるようになる。
不器用なジョニーの笑顔は、幸せそうだった。

それは、男女の恋となんら変わりはない、
今まで閉ざされたところで独りだった彼に、吹いた、暖かな風のよう。

「ブロークバックマウンテン」を思い出した。

今までジョニーは、人生をあきらめていたかもしれない。
ゲオルデとの出会いが彼を変えた。
いよいよ動けなくなった父を彼が入浴させてあげた時、父がポツリと言った。
「すまないな…」
今まで命令しかしなかった父が…初めて素直にお礼を言った…
泣きそうになったよ、
その後父の態度も柔らかになって。。

去ってしまったゲオルデを追って旅立つジョニー。
ラストは互いに気持ちをさらけ出しすふたり。

神の恵みの地(ゴッズ・オウン・カントリー)と呼ばれるこの地ですが…
前半は厳しい自然ばかりが際立っていました。ふたりが寄り添ってからは、光が当たっているように感じました。
chip

chip