阪本嘉一好子

ゴッズ・オウン・カントリーの阪本嘉一好子のネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

ヨークシャ地方で羊を飼育しているジョン。父と祖母と三人ぐらして全ての労働はジョンにかかっている。父親は一度倒れたようで、体を自由に使えない。春の羊の出産時期になると季節労働者を雇うようで、今年はギオーギ(Gheorghe ーAlec Secareanuー初めてみたがハンサムな俳優)が彼の家に。ジョンはギオーギのもみあげをみて、パッキーか(パキスタン人の軽蔑した言い方)と聞くがルーマニア人だと答えるとジプシー(軽蔑用語)かと聞いたりし、まるでギオーギの心を無視しているうえに、狭い社会で生きているから、自分が差別用語丸出しでも気がつかない。

二人の脱いだ服を見つけて片付けている時、使い終わったコンドームをみて祖母は苦しんだようにみえる
祖母の葛藤と孫を理解しょうとする心に私は泣いた。毎日毎日バーで呑んだくれていた息子が、ギオーギを好きになって人が変わったことに気づいているから。
そして、ギオーギが去って、日々の仕事だけを夢中にこなしている孫が忍びないと思っている。孫が出かける時、最後に何か忘れているんじゃないととギオーギが働いている住所をテーブルからとって渡す。泣けるな。

祖母も父親もジョンを愛しているが文句ばかりで、褒めたり、感謝したりする言葉を全く出さない。でも、父親を入浴させている時、父が初めて息子の手に自分の手をおいてありがとうと言った。
https://www.youtube.com/watch?v=7dLrr9KdnVQ The Days - Patrick Wolf
LGBTQであるということの生きづらさ、それも、片田舎で、閉ざされた世界だと、サポートされずに色めがねでみられているし、受け入れられない。このような状態で生きている人々にとっての救いは家族の理解だと思う。家族の数多くの心の葛藤の渦の中で、GLTBQもその一つの葛藤として理解し解決していると思える映画。