りく

バイスのりくのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
3.5
9.11同時多発テロ発生時のアメリカ政権は良くも悪くもメディアに多数登場してたから、当時を知る映画ファンは見てみると興味深いと思う。

クリスチャン・ベールがまたまた激太りの肉体改造をして演じたチェイニー副大統領はもちろんのこと、スティーヴ・カレルが颯爽と演じたラムズフェルド国防長官、他にもパウエル国務長官、ライス大統領補佐官(後の国務長官)。

みんな、やたらと似てるからビックリするやら笑うやら。キャスティングとメイクアップの勝利。ものまね王座決定戦を見てるかと思うよ。ライスなんて「本人が出てる」と思ったもん。

極めつけは子ブッシュ大統領を演じたサム・ロックウェル。スリー・ビルボードでは極悪警官を演じてた彼が、この映画ではもう子ブッシュにしか見えない。表情の作り方とか、間を取る時の喋り方とか、よくニュースで見てたブッシュ大統領のまんま。俳優ってスゴいよ。

ほんのちょっとしか登場しなかったけど、父ブッシュも雰囲気が出ていて笑えた。ソックリって訳ではないけど、出てくると「あ、この人ブッシュだ」って分かる。

映画の内容は、9.11から始まった子ブッシュ政権のダークサイドに墜ちた政治運営と、イラク戦争で起こっていた欺瞞、狡猾、残虐、そして嘘の数々。これは他の様々な作品でも語られている通り。この作品では、あの悪名高きイラク戦争でチェイニーを始めとする当時の政権中枢が何を判断し、何を動かしたのかが描かれている。

チェイニー自身の著作やインタビューなど本人の言及を基にした話ではないと作品冒頭でも注釈が入るので、どこまでが真実でどこからが脚色なのかは分からない。映画ファンは真相究明よりも、ただ俳優陣たちの見事な演技を堪能して頂ければ良いのではないかと。
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