あさのひかり

不安と共に生きるのあさのひかりのレビュー・感想・評価

不安と共に生きる(2017年製作の映画)
4.3
慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)になり療養中の女性が、この病気への理解を深めるため撮影した映画。自分と家族、同じ病気に苦しむ患者とその家族の生活、専門家の意見なども合わせて撮影している。

まず、名前のせいもあって勘違いされがちだけど、適切な抗ウイルス薬を飲んだら、撮影者の病状が改善されたように、これは「病気」であるということ。ただ、原因は未だはっきり分かっておらず、そもそも医療の専門家ですら「病気」であるという理解が不十分で、精神的なものと誤解され、研究も進んでいないこと。そのため、この病気となっても適切な医療を受けることはまだとても難しい状態にあること。

女性に多い病気だけど、女性が理由のわからない症状に苦しんだとき、「ヒステリー」という精神疾患として取り扱われてきた歴史があることはちょっと腹立たしい。この病気で苦しむ人達は今でもそれに近い偏見に苦しんでいて、撮影者も「病気や死そのものは怖くないが、間違った理解をされることが怖い」という。そして、困難な病気と戦いながら、この病気に対する無理解とも戦っている現実も紹介される。

私なんかより医療に関わる人みんなに見て欲しい内容だけど、病気に苦しみながらも家族(旦那さんすごく素敵な方!)とともに戦う彼女の姿にも勇気づけられたし、とても良い映画だった。
あさのひかり

あさのひかり