とうがらし

父、帰るのとうがらしのネタバレレビュー・内容・結末

父、帰る(2003年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

2003年ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞、新人監督賞など五冠

12年間音信不通だった父、突然の帰宅。

父「イワン」
イワン「何?」
父「何? パパ」
イワン「何?」
父「何? パパだ。なぜ言わない」
イワン「何? パパ」
父「そうだ。なぜ迷う」

うひぃ!
重苦しく、暴力的な空気。
親子の陰鬱で最悪な釣りキャンプへ、ようこそ。

12年間とは、ソ連崩壊から経った年月。
自動車:ロシア
ボート:ソ連
父:国家権力
兄:一般国民
弟:抵抗勢力
周囲環境:近隣諸国
それぞれがメタファー。
ロシア共和国(ロシア革命)からソ連(社会主義国家)の成立、崩壊までの歴史を表現した家族ドラマ。

世界三大映画祭の長編コンペディション部門に、初監督作が選出されるだけでも至難の業。
金獅子賞受賞となると、ロシアではアンドレイ・タルコフスキー監督(「僕の村は戦場だった」)以来の大快挙。
「裁かれるは善人のみ」を先に観て気づかなかったが、本作では、タルコフスキー監督(「鏡」や「サクリファイス」)からの影響が明確に感じられる。
脚本やカメラワークに余計な部分が多少みられるも、一体どんな勉学や人生経験を積んだら、初長編監督でいきなり、こんな優れた寓話を作れるんだろう?

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=mEKp-Ort7hU
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