素晴らしい。
青い色調が心理的に作用する。
この先何が起こるかわからない不穏さ。
ロシアの美しい森、空、海岸、道、空気を取り込むことに成功した映像詩。
静かに進むが、丁寧な行動描写により少年と父親の関係性に引き付けられ続ける。
息子、父親ともに多くを語らない。何か求めており、何か伝えようとしているけれど、素直なコミュニケーションを取りようがない12年間の空白が重い。
父親の不在を経験した子にとって、父親とは、どう関係を持てば良いかわからない、得体の知れない、絶対的な力を持つ存在なんだろうと私たちに感覚的に理解させる力を持つ類い稀な作品だと思う。
抒情詩人として初長編映画作から完成しているアンドレイ・ズビャギンチェフの世界にひれ伏すしかない。
父親役 コンスタンチン・ラヴロネンコ
母親役 ナタリヤ・ヴドヴァナ