〖1930年代映画：戦争ドラマ：松竹〗
1936年製作で、少年航空兵を目指す二人の少年の航空学校での訓練や生活を描いた戦争ドラマ⁉️

2023年2,590本目

• #2023年鑑賞
• #1936年製作
• #戦争ドラマ
• #松竹
• #笠智衆

少年航空兵を題材にしたプロパガンダ映画。
特筆すべきは、
・トーキーがまだ珍しかった時代のトーキー。
・少年航空兵を扱ったいちばん最初の映画。
って、あたりなんだけど、そのせいなのかどうなのか、ドキュメンタリー以外のドラマパートが単純で（悪くいえば「幼稚で」）めんくらった。小学校低学年向けみたいな内容といえば、伝わりやすいと思う。大人も子どももみんなバカみたいに見えた。
シーンも長くて、いまだったら数カットで済ませるところをえんえんと撮影している。このあたりは初期のトーキーなのでしかたないとも思う。
ただ、少年航空兵がどんな生活／訓練をしているのかとか、予科練ではなにを学ぶのかとか、そういうのをひととおりやってくれるので、映像資料としての価値もある。
作中で「そろそろ戦争がはじまる」といってたのは、時代的に日中戦争のほう。国力にまだ余裕があるせいか、汁粉を食いまくるとかプロットが無理なく挿入される。軍隊に入ると腹一杯食べられる（からおまえら志願してこい）みたいなニュアンスはなかったように思う。ただ、次男坊以下はぜひとも志願してこいというメッセージはくみ取れる。
大映が予科練の様子をフィルムに収めたプロパガンダ映画「空の少年兵（1940）」と比較すると面白いはず。
同じプロパガンダ映画でも、余裕があった頃と、余裕がなくなってきた頃では大分違って見えた。
ほとんどの生徒がすぐに散華したであろう「空の少年兵」にはあった妙な静けさみたいなものはこちらにはなかった。

監督と清水宏の助監督兼任から正式に監督デヴューとなった新進の佐々木康監督が、予科練として有名な海軍飛行予科練習生を希望する二人の少年の物語を、得意の音楽を盛り込みながら明るく爽やかな航空学校の訓練と友情を描いた航空映画の秀作。少年航空兵の東京行進場面の欠落は惜しまれるが、少年の故郷で上海事変飛行士英霊碑式典に、教官中尉夏川大二郎と複葉機に同乗した一等少年兵本郷秀雄がスリリングな飛行を披露した帰り、東京上空で炎上し霞ヶ浦基地近くで墜落、二人は窮地を逃れるが、その間の空中撮影の醍醐味は素晴らしい。また、スポーツカーを乗り回す令嬢三宅邦子のスタイリッシュさには驚き！