あまのうずめ

愛しのアイリーンのあまのうずめのレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
3.8
パチンコ店勤務の宍戸岩男は42歳独身。ボケた父源造と母ツルは農家。同じスタッフのアイコに気があり誕生日プレゼントを貰って喜ぶが、アイコは別のスタッフと肉体関係を持っていて岩男に本気だと困ると釘を差した。岩男は姿を消し、ツルは必死で探し始める。


▶︎吉田恵輔監督が漫画原作を安田顕主演で実写化。吉田節が色濃く出た山村の一人息子のフィリピン嫁探しの果ての物語。

母は息子の見合い相手を探すが眼鏡に叶う者は無く、岩男は突然300万円使いフィリピンでの集団見合いに参加、アイリーンと結婚したものの母が反対。アイリーンの家族は子沢山で貧しく仕送りをする約束で迎えるがアイリーンはと言えば......だけでも一本になる話だが、今作はクライマックスが何度も訪れる。見終わっての一言はなんと重苦しいことかだ。

貧困、嫁問題、農村の慣習、差別、搾取などが輪になって繋がり、どれも取りこぼすことなくキッチリ描いている。人間への迫り方がどぎつく描写もエグい。いつの間にか画面に引き込まれていた。

こんな村が実在してるという再現性やチーム・ナックスの安田顕を引き上げこともだが、特筆すべきはまずツル役の木野花の演技。情が通い始めた岩男とアイリーンのシーンも印象的だった。

内在させたい面を発露させる吉田恵輔監督の秀作。

WOWOWの『吉田恵輔監督特集』にて鑑賞。