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愛しのアイリーンのペインのレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
4.5
“How much おマ○コ?”

※いつもより長いです。
オナニズム全開です。

私的には昨年の邦画では「寝ても覚めても」と並んでベストかもしれない。

「さんかく」「ヒメアノ~ル」などで私の心を鷲掴みにし、私的に今最も信頼できる日本人監督の一人である吉田恵輔監督。

吉田監督はこの新井英樹の原作マンガが“自分の映画作りの根幹となった作品”とまで言い切っており、つまり彼のエッセンスそのものな訳です。

なので原作ものではあるものの、彼の過去のオリジナル作品同様に、彼が得意としている“表面上おだやかに見えていたありふれた日常が、ふとした拍子、ふとしたほつれからメリメリメリっ!と裂け目ができて、ものすごく残酷だったり無情だったりっていうその本質的な顔を露わにしていく”作品なわけです。

で、この映画の素晴らしいところを挙げていくとキリがないのだけど、まず挙げなきゃいけないのはあの中盤の初めてのキスシーン!あれは映像の質感といい、背景で煌めくネオンといい、主演二人の演技(アドリブも有り)といい、もう極上のシーンでしたね。あんな世の中にも、この世界の片隅であんな美しい瞬間があるんですよ!このシーンのためだけでも本作は観る価値がありますよ💯

で、役者陣もホントに全員体当たりで素晴らしくて、なかでも主人公の母親役の木野花さん。実年齢よりかなり上の“ババア演技”はアカデミー賞級で、昨年でいうと「スリー・ビルボード」のフラシンス・マクドーマンドに匹敵するババアっぷり(笑)

あとナッツ・シトイさんのチャーミングっぷりはヤバいですよね。自分も一瞬フィリピン人と付き合いたいなって思っちゃいましたよ(笑)

恐らく映画史上最も“おマ○コ!”ってセリフに出てくる映画だと思うし、性描写も沢山あるし(モザイクはあるけど安田顕の超絶変顔オナニーは必見)で、不快と感じる人も多いかもしれないけど、こういう風に生きるしかなかった人たちの物語に私は心打たれました。

それで終盤のとある全面雪景色のシーンなんかは「復讐するは我にあり」的な今村昌平監督作品のような、“人間の業”“日本の業”を見つめるとてつもない領域に入ってるなと感じました。

あと個人的に安田顕の同僚役の藍さん良かったな。感想おわり。
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