太平洋戦争末期の時代。戦火が激しくなる中で東京にある2つの保育所が、埼玉県の山奥で疎開保育所を行うことを決める。53人の園児を預かる保母さんたちの懸命な奮闘を描いた実話ドラマ。
この時代は先が全く見えない戦争真っ只中。戦火から逃れるために疎開して子供たちを守ろうとした保母さんたち。当然問題だらけの中、手探りで1つ1つを何とか解決していく姿には心打たれます。
子供たちとのやり取りは思わず笑顔になれるものばかりで、戦禍というのを忘れそうになるほどの温かさ。しかし実際は今後どうなるか分からない状況で相当な恐怖と不安だったと思います。
この年頃の子供の世話は1人でもそれなりに苦労するのに、53人も世話をしながら極限状況の中を耐えなければいけない。本当に想像できません。
過酷すぎる環境で辞めてしまう人もいたり、食料もギリギリの状態だったり、所長にも赤紙が届いて戦地へ行くことになったり、埼玉県にも空襲の手が届いたりと心が折れそうになる事ばかり。
それでも終戦まで53人の園児を全員守り抜いた保母さんたち。頭が上がりません。どんな状況でも諦めない彼女たちを演じた戸田恵梨香や大原櫻子をはじめとするキャストの皆さんの熱演も素晴らしかった。
僕自身4歳の娘がいるので、保母さんや幼稚園の先生の存在の大きさは常に実感しています。今の時代はコロナ禍。ウイルスという見えない相手がいる中、日々全力で子供たちと接してくれる方々には本当に感謝しかありません。どの時代であっても保母さんは影のヒーローだと感じました。
一言二言では表せない戦争の悲惨さを改めて感じましたし、困難が続いた分ラストの感動は深く胸に染みるものでした。かなりの良作。今の時代だからこそ是非ご覧になってほしい一作です。