『帰るところなんてなかったんだ』
迂闊だった。油断した。
何となく市井の人々の物語だと思い込んでいた。3人の男友達の物語。長谷川博巳がでてきて、一気に物語が走り出す。
ああ、涙がツーっと頬をつたう。
不思議と溢れてきた感情にしばし戸惑っていた。この映画で泣かされるとは思っていなかったよー。阪本監督(T^T)
特筆すべきは、池脇千鶴の存在。
妻として母として。
そしてあの台詞。
心が潰れそうだった。
重なる黒い傘に狐の嫁入り。
敬礼。くしゃくしゃの顔。
その世界には沢山の愛が溢れていた。
自分の世界ってなんだろうね。
物心ついてから今までの記憶を辿ること、時々ある。その旅は楽しかったり辛かったりする。その時その時の世界に身を置いて。
記憶は脚色されているだろうけど。
生きてきた記憶が記録として確かに記憶に在ること。
そこに世界が広がる。
それぞれの世界。
田舎を出た者にとって、そこは故郷であっても居場所でなくなっていたりする。まあ同窓会なんて、学生時代のカーストから抜け出せなくて、居心地悪いってこともよく聞くね。懐かしいけど、決して戻れない世界。
誰もが自分の世界を築き上げ、その世界を生きているだけ。
だからお互いに知っていても知らなくても、その世界を想像したり、思いやったりして、心を寄せていたいね。
そしたら世界は愛に溢れて平和になるのにね。なんてちっぽけな世界で夢をみる(*´ー`*)
2019MFFクロージング作品。