きよこ

半世界のきよこのレビュー・感想・評価

半世界(2018年製作の映画)
4.0
『帰るところなんてなかったんだ』


迂闊だった。油断した。
何となく市井の人々の物語だと思い込んでいた。3人の男友達の物語。長谷川博巳がでてきて、一気に物語が走り出す。

ああ、涙がツーっと頬をつたう。
不思議と溢れてきた感情にしばし戸惑っていた。この映画で泣かされるとは思っていなかったよー。阪本監督(T^T)


特筆すべきは、池脇千鶴の存在。
妻として母として。
そしてあの台詞。
心が潰れそうだった。



重なる黒い傘に狐の嫁入り。
敬礼。くしゃくしゃの顔。
その世界には沢山の愛が溢れていた。




自分の世界ってなんだろうね。

物心ついてから今までの記憶を辿ること、時々ある。その旅は楽しかったり辛かったりする。その時その時の世界に身を置いて。


記憶は脚色されているだろうけど。


生きてきた記憶が記録として確かに記憶に在ること。


そこに世界が広がる。


それぞれの世界。


田舎を出た者にとって、そこは故郷であっても居場所でなくなっていたりする。まあ同窓会なんて、学生時代のカーストから抜け出せなくて、居心地悪いってこともよく聞くね。懐かしいけど、決して戻れない世界。


誰もが自分の世界を築き上げ、その世界を生きているだけ。


だからお互いに知っていても知らなくても、その世界を想像したり、思いやったりして、心を寄せていたいね。


そしたら世界は愛に溢れて平和になるのにね。なんてちっぽけな世界で夢をみる(*´ー`*)




2019MFFクロージング作品。
きよこ

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