ちろる

半世界のちろるのレビュー・感想・評価

半世界(2018年製作の映画)
3.9
私たちは世界を知らない。
自分の世界以外何も。
仲良くて、毎日のように顔を合わせて知った様な気になってても、何も知らない。
そのことに納得しながらもながらも、悲観する事なく一日一日を優しく精一杯で生きるしかないという事をこの歪な二等辺三角形の男どもが教えてくれる。
阪本順治氏による脚本・監督によるオリジナル作品。
とある地方都市を舞台に炭火焼職人の主人公高村とそれぞれの人生を歩んできた同級生2人とが、人生も半ばを迎え残りの人生と向き合っていく。
高村紘(稲垣吾郎)は、父親の代からの備長炭作りを継いだが、先行きが見えず袋小路。同級生・瑛介(長谷川博己)は自衛隊を辞め離婚をし地元に戻ってくるが、何か訳ありの事情を抱えている。
独身で自由奔放な光彦(渋川清彦)との3人で再びつるむ様になるが、それぞれがそれぞれ打ち明けられない事情を抱えて次の一手を考えてあぐねいている。
風光明媚な長閑な田舎では無く、なんとなく身動きの取れなくなるような息苦しさのあるような空気感。
嫌な予感が次から次へと迫ってくる。
でもこれは決して不幸なお話なんかではない。
男性は主人公を含む3人組や明に、そして、女性は紘の妻初音さんに、それぞれ想いを馳せて、なんとも言えない切なさの中でも、最後はなんとか明日への勇気をもらえる作品に仕上がっていました。
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