ロールシャッハ

ヘレディタリー/継承のロールシャッハのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
4.5
この物語は言わば家族の弱さと血縁の強さ、一家の受難がメインテーマです。

枠組みとしてはホラーですが、その中で様々なホラージャンルを感じさせるという意味で、私はキャビン(2012)を連想しました。
しかしこちらはキャビンの様なコメディテイストやポップさは無く、嫌な雰囲気が常に付きまとい、より格式高い過去のホラー映画の総括といった様相をしています。

冒頭の演出からアガってしまったのは、部屋の中にいくつもあるミニチュアのひとつにズームしてからの、そのミニチュアかと思っていた部屋の扉が開き、父親がそこで寝ている息子に声をかける場面に切り替わるトリック撮影は、シャイニング(1980)のオマージュのはずです。
しかもそれはただ同じ撮り方をしている訳ではなくて、シャイニング同様に何かからの視線を意味する演出になっている事はその後を観ていて気付かされました。

観ている途中段階では「こんな嫌な映画は観ていてきつい。2回目はないかも。」と、もちろん褒める意味で話が完璧に嫌な方向へ話は進んで行くのがむしろ快感になり、違う作品を観るのをキャンセルし2回連続で鑑賞。
2回目に気付かされるカットや演出が多く、同じ映画を観ている様には思えないほどで、むしろ4時間のホラー映画として覚悟して臨むのが良いと思います。
演出として音を細かく効果的に使われているので、映画館で見れなかった人はヘッドホンを使った方がより楽しめます。