ナガタカエラ

ヘレディタリー/継承のナガタカエラのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
4.7
洋画ホラーと聞くとグロテスクな幽霊が突如として大きな効果音と共に現れて驚かされるのを想起させられるが、本作は、大きな音もグロテスクな幽霊も現れないが、127分間、ただひたすら恐ろしい。
何が恐ろしいかと言えば、1つ目は全く読めないストーリー展開である。こうなるだろう、という予想をあっさり裏切り、目隠しでジェットコースターに乗せられたが如き不安感に襲われる。
2つ目はBGM。管楽器が低く呻るような、とにかく不愉快なサントラの数々が不安感を更に煽る。
そして3つ目は、カメラワーク。登場人物の一人である母親が製作しているドールハウスを意識した、実写なのに第三者が俯瞰しているようなカット。何者かに操られていることをいやが上にも想起させられ、終始不吉な雰囲気を漂わせる。
様々な伏線を張り巡らせ、主人公一家を襲う凶事の数々の原因がわかった瞬間には時既に遅し、最悪な結末を迎える。
見えない線路で運ばれ、最後に目隠しを外された瞬間に見えるその光景は、2回目以降の鑑賞では最高のハッピーエンドにも思える、観客に多層的な視点を与える映画だ。
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