みんと

5時から7時までのクレオのみんとのレビュー・感想・評価

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
3.8
大好きドキュメンタリー作品『顔たち、ところどころ』のアニエス・ヴァルダ監督の代表作をやっと鑑賞。初めて彼女の撮る映像を観て、人となりに触れ、観たい欲の高まりを感じずにはいられなかった。

ジャケ自体から漂う洗練された雰囲気そのままに、しかもモノクロ映像の画力にグイグイ引き込まれた。
もはや“お洒落!“以外のなにものでもない。

そしてジャケの女性、てっきりジャンヌ・モロー?かと思って、コレはクールで強い女性のお話?...なんて勝手に想像してたら、違った。
どちらかと言うと綺麗な中にジーン・セバーグ寄りの可愛らしさを併せ持つコリンヌ・マルシャンの美しさの中にもっと共感し易い弱さが見て取れる。そして勿論、ファッションも素敵。

冒頭数分のカラーパート(タロット占いシーン)からモロクロの表情への切り替えなんてゾクッと鳥肌。あざとくないセンスには好感すら持てた。(監督の何を知ってる訳でもないけど)

癌が疑われ医師からの診断結果を待つ間の5時から7時のクレオをひたすら追っかけた言わばドキュメンタリーの様な作風は先ず設定の斬新さを感じるところで。どうかしちゃってるクレオの情緒不安定さがリアルでもあり、妙に人間味を感じるんだけど、一方でパリの街並みや映像がまるで非現実的な夢の世界のようにも思えちゃうセンス、、、

終始クレオの主観で描かれるも、そっくりそのまま自分にとっての2時間に置き換え、または自分だったらと仮定しながら、同じ女性の感覚としてとても感情移入し易い作品だった。

そしてゴダール、アンナ・カリーナのカメオ出演は...気付けて良かった!
みんと

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