菩薩

KUICHISANの菩薩のレビュー・感想・評価

KUICHISAN(2011年製作の映画)
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小一時間余りしっかりと平均台の上を歩かされる。何をどうだこうだと理解せぬまま歩いても、思考をフルに活用させながらつま先で立って渡って行っても良いが、勇気を持って飛び込む事が何より必要だと思う。例えば松本俊夫に寺山修司だとか、ブラッケージにウォーホルだとか、それらを引き合いに出すのも良いかと思うが、目の前にあるのはただ露骨なまでな画と音の洪水と渦である。もしかしたら子供が見る「OKINAWA」と「JAPAN」言うものはこんなものかも知れないし、今は失ってしまった幼少期の感覚、身体の中のどこかで隠れんぼをしながら誰にも見つけて貰えないそれはこんなイメージなのかもしれない、そんな具現化がこの作品なのかもしれないが、この作品は自分とは永遠に融け合わない次元にしっかりと君臨している。世界の終わりと、ハードボイルドなワンダーランドと、置き去りにされたトカゲの尻尾と、書を投げ捨てた少年が跳躍する未来の形と、コーラフロートのアイスもまた、沖縄の夏休みの熱にうなされながら、いまだ融け合わずに君臨を続けている。
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