みち

追想のみちのレビュー・感想・評価

追想(2018年製作の映画)
4.0

イアン・マキューアン原作 ”On the chesil beach” (『初夜』)の映画化作品。

1962年、性の解放が叫ばれる前。大学を卒業したばかりのエドワードとフローレンスは無事に結婚式を終え、新婚旅行先のチェジルビーチのホテルの一室で、夕食をとっていた。この後お互いのすべてをさらけ出すときが来ることを考え、喜びと緊張、不安を感じながら。

新婚初夜という場面を軸に、そこに至るまでの過去の様々なエピソードを挟みながら物語はすすんでいく。

自由と幸せを願って結婚に至った繊細で真面目な若者たち。2人の複雑な思いが交錯する様子が、もどかしく、切なく、観終わった後に何ともいえない余韻が残る。エンドロールはただただその余韻に浸っていた。

シアーシャ・ローナンはどんな役にも溶け込む。観るたびに本当に良い役者やなと思う。『つぐない』( “Atonement” (『贖罪』)』)も大好きな作品だが、イアン・マキューアンの映画化にはシアーシャ・ローナンで間違いないことを確信した。

ドミニク・クック監督の映画は初めてだったが、作品の雰囲気を壊すことなく、音楽、カメラワークも美しく、満足できる作品だった。
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