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希望の灯りの708のネタバレレビュー・内容・結末

希望の灯り(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

取り立てて大きな事件やビックリする展開があるわけでもなく、派手さや華やかさは一切なく地味で素朴なんだけど、後からじんわりと心に沁みてくる良作でした。

旧東ドイツの大型スーパーマーケット。そこで働き出した無口なクリスティアンは全身タトゥーで、これは絶対に訳ありなんだろうなと思ったら、実は元受刑者。でも、そんな彼をそっと黙って優しく見守る先輩ブルーノやスタッフたち。途中でクリスティアンの昔の悪い仲間たちが現れたとき、クリスティアンやそいつらが悪い事件を引き起こすんじゃないかとハラハラしましたが、一切そういうこともなくてホッと安心。

クリスティンは夫がいるマリオンという既婚者の女性を好きになるんだけど、ラヴロマンスの要素よりも人間ドラマ的な要素を強く感じました。日本で言うところの人情劇という感じ。全体的に明るさがなくて、薄暗いものの、終始人の温かみを感じさせてくれる作品。邦題も「希望の "光"」ではなくて「希望の "灯り"」というのがミソ。決して煌々と光った眩しい光ではなく、自分の心や他人の心に灯す仄明るい小さな灯りのような感じ。苦悩やら大変なことをいろいろと抱えていても、それでも小さな希望を灯しながら生きていかなくちゃいけないんだよね。

ラストでフォークリフトをゆっくり下ろすときに海の音がするというくだりで、機械音が徐々に海の音へと変わっていき、エンドロールに繋がっていく流れがよかったです。っていうか、ほぼフォークリストが中心になって物語が進行してます。監督や出演者たちもフォークリフトの免許を取ったそうです。
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