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ウトヤ島、7月22日のColのレビュー・感想・評価

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)
3.8
この映画を観終わったあとに、実際のウトヤ島乱射事件の記事を読んで見る。この映画の内容も衝撃的だがこの事件の背景、また後日談にも衝撃を受ける。まさに“事実は小説より奇なり”この映画の存在価値を非常に感じた。現実の記事を見て初めて完結する。・・・と書いてしまうと映画としてはどうなんろうと思われてしまうが自分はこの映画を好意的にとらえた。実にこのかた自分は死の淵にたたされたことの無い平和な人間でしたが、PTSDに陥る感覚をこの映画を通して覚えた。上映から開始10分立ってすぐ無数の銃声が継続的に鳴り響く。映画のラストを迎えるまで。映画館の音響効果もあってか心臓奥底つく銃声はストレスになった。走り惑う人達、逃げ惑う狼狽する主人公。パニック状態からかいらぬ衝突する仲間たち。常時犯人に狙われるか分からない状況にさらされる。ワンカットで表現されるPOV映像はウトヤ島に一緒にいる感覚をあたえる狙いとして成功していたと思う。正直全編ワンカット撮影の映画を何本か見たことがありますが、こういう没入感として効果的な作品は初めて。銃乱射事件ですがあくまで銃殺など残酷なシーンは控えられ、へんなショッキング映画になってないのがこの映画の意義、立ち位置がわきまえられている。映画として誇張されず、当事者の話をもとに作られたこの作品は犠牲者にも敬意を払った映画と感じた。・・・人の命を奪ってよい大義などあるはずがない。
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