ユースケ

バーニングのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

バーニング(1981年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「全米27州で上映中止!いま空前の《絶叫映画》がやってくる!」
「絶叫100発! 全米で緊急指名手配 これが恐怖の復讐魔 噂の《バンボロ》だ!WANTED」
(実際には中止ではなく打ち切り。全米で緊急指名手配なんてされてないし、殺人鬼の名前はバンボロではなくクロプシー。絶叫で声帯や鼓膜が傷ついた際に下りる絶叫保険なんてありません。)

盛り盛りのキャッチコピーによる誇大広告が許されていた古き良き時代を感じさせる本作は、クソガキのイタズラで丸焦げになったキャンプ場の管理人のクロプシーが巨大なハサミでキャンプを楽しむクソガキを殺しまくる【13日の金曜日】のフォロワー映画の傑作。逆光でハサミを振り上げれば【バーニング】だ。

みどころは、キング・オブ・スプラッターこと特殊メイクアップアーティストのトム・サヴィーニの匠の技が光る残酷描写。本作の代名詞とも言える指チョンパシーンは必見。
カヌーには被害者が乗っていると思わせておいて、カヌーに潜み、近付いてきた五人を瞬殺したり、トーチバーナーから炎を出しながら派手に登場すると思わせておいて、一旦姿を消し、絶妙なタイミングで登場したり、恐怖のサプライズ演出もお見事。

更に、5大プログレバンドのひとつYesでキーボードを担当していたリック・ウェイクマンによる音楽も素晴らしい。
【サンゲリア】、【地獄の門】、【ビヨンド】、【墓地裏の家】、【マンハッタンベイビー】など、ルチオ・フルチ監督作品の音楽を手掛けたファビオ・フリッツィの音楽を思わせる物悲しいメインテーマは必聴。怪談ドッキリ成功シーンで流れるゲームのステージクリアみたいな音楽がたまりませんでした。

しかし、さんざんハサミを使って殺してきたのにトーチバーナーに武器を持ち替えて襲い掛かり、ハサミで反撃されるラストバトルはもうちょっと頑張って欲しかったです。斧を頭にぶち込んでバーニングするトドメが良かっただけに残念。
それにしても、5年間も病院で治療してこのドロドロ顔は酷い。クロプシーにはセカンドオピニオンをオススメします。

ちなみに、クロプシーに大火傷を負わせておいて、その体験談を怪談話のネタにする主人公はクロプシーよりもサイコパスです。