クリーム

母さんがどんなに僕を嫌いでものクリームのレビュー・感想・評価

3.8
漫画家·歌川たいじさんの実話コミックエッセイを映画化。歌川さんは、ゲイでパートナーがおり、キミツという親友は本当にいらっしゃいます。本作ではゲイである事に触れてませんが、太賀さんの演技の節々にそれを感じるのは、演技力の賜物だと思いました。母さんは、糞ババアですが、優しい友人達や助けてくれた婆ちゃんのお陰で人生を取り戻し、前向きに生きるタイちゃんの姿に胸が締め付けられました。木野花さんの婆ちゃんにとっても癒されました。

主人公の歌川タイジは、幼少期から母に虐待され、心に傷を負ったまま大人になります。そして、趣味で出会った友人や会社の同僚達に励まされ、自ら母と向き合う、1人の青年の再生と成長の物語です。



ネタバレ↓



小学生でタイジは肥満更生施設に預けられた。そこは育児放棄された子供が集まる施設で、父の工場で働く婆ちゃんが母を諭すが、結局、1年程施設にいた。タイジは婆ちゃんの住所が書かれたハガキを「何かあったら教えてね」と渡され、大切に持って行った。施設から戻ると母は離婚し、姉とタイジを連れ、新しい生活に…、母はタイジを殴り、辛く当たる事でストレスを発散させた。
17歳で精神科にかかり、口論の末、母は包丁を突き付け、産まなければ良かったと叫ぶ。タイジは今までの仕打ちを後悔させるまでは死なないと母に告げ、出て行った。
18歳で、婆ちゃんの居所を知り、会いに行くが既に病気で弱っていた。婆ちゃんは、タイジに「タイちゃんはブタじゃないよ」と言い聞かせた。
趣味のミュージカルで知り合ったキミツや会社の同僚とその彼氏が、友達として彼の心に寄り添う。
ある日、母から電話があり、再婚した夫が亡くなったから葬儀に出席しろと言う。タイジが行くと、今までどうしていたのか?等一切聞かない母に絶望した。しかし、そんなタイジにキミツは、親であるとか子であるとか、関係なしに気付いた方が変われば良いと言う。
そして、タイジは母の家に通い食事を作ったり、世話を焼き、自分が変わる事を選択した。ある日、母が倒れ入院を機に亡くなった旦那の多額の借金で首が回らない母に破産宣告を薦め、母は新たな事業を始めたが、亡くなった。
タイジは、大切な友人達に混ぜご飯を振る舞うのだった。

吉田羊の毒親が美人が故に冷徹な糞ババアに見える。さすがな演技でしたが、暫く嫌いだと思う(笑)。どんなにクズで糞な母でも息子は愛されたいと言うのが悲し過ぎた。まるで覚醒剤に手を出し、脳が欲するかの様に見えた。早めに亡くなってくれて良かったんじゃないの?と私は思ったが、タイジには違うんだろうなぁ。今、幸せにパートナーや友人と自分の人生を歩めているのは、本当に素晴らしい。自分が前向きであれば、回りにもそう言う人が集まり、寄り添って行けるんだなぁと思える優しい物語でした。
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