にゃんこむ

ねことじいちゃんのにゃんこむのレビュー・感想・評価

ねことじいちゃん(2019年製作の映画)
5.0
島の四季と住民たち。そして島の猫。
動物写真家である岩合光昭さんの初フィクション映画監督作品。妻に先立たれたおじいさんが猫のたまと暮らす様子を描いた作品です。
猫だけの映画かと思えば『リトルフォレスト 春夏秋冬』のような素朴飯要素もあり。

この映画を観て驚いたのは、いくらでもドラマチックな要素や泣かせにくる要素はたくさんあったのに、それをあえて避けていること。
なんにもないがある。かと言って、つまらないというわけではなく、島の住民たちによる群像劇はいちいちほっこりできるし、ほんのちょっと幸せな気分になれる。

この映画は何と言っても猫が沢山出てきます。
エンドロールは人間の役者さんたちの名前より圧倒的に猫が多いほど(笑)
人間ドラマメインのシーンですら猫がいる。ほぼ猫。
ずっと口が緩みっぱなし(笑)

猫がケンカをしているシーンや、いろいろ悪戯をしているシーンはよくこんな芸をトレーナーさんが教えているなぁと思ったのですが、実は撮影時も予期していなかったらしく、役者さんの機転やアドリブでシーンとして成立させていたようです。
猫を愛している役者さん達だからこそ出来た事ですね。

前述でも『リトルフォレスト 春夏秋冬』と似ていると書きましたが、島で取れた食材を使った料理のシーンは本当に良かったです。完璧過ぎない手作り感あふれる素朴な料理。おじいちゃんの慣れない料理の手つきや、作ったいなりずしのサイズがやや大きめな所とか、とっても好き。
料理の演出も岩合監督のこだわりポイントだそうです。

この映画は他の映画と比べてドラマチックさは皆無です。
けれど、ドラマチックな出来事が無い所にある物語が好きな方にはオススメな作品です。
映画をたくさん見てきて良かったなぁと思う事は、こういう映画の楽しみ方も知った事ですね。

私が見た劇場では年配の方が多く、私にとってはなんでもないようなシーンで笑いが起こっていたので、監督と同世代の方々の方が楽しめるのかなぁ、なんてことも思いました。

ベーコン君ラブすぎて、見終わった後にパンフと写真集とグッズを買い込んじゃいました(笑)
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