このレビューはネタバレを含みます
直接的な描写はないけれど、残虐で痛ましいホロコーストの記憶を伝える映画。
ハッピーエンドと一概に言えないのに、観ているこちらは救われてしまう初めての視聴感に陥った。
海外在住経験から差別される恐ろしさはわかるけど、アブラハムの生きた時代はどれほどのものだっただろうと思うとどんな想像力を持ってしても足りない。
生きているだけで、存在しているだけで、迫害されるのだから。
彼の品のある意地悪さや、誰に対しても敬意を忘れない姿勢はとても美しい。
壮絶な経験からくる性格なのか、持ち前の知性なのか、どちらにしろ
出会ったばかりの人を自然に巻き込んで大変な道のりの旅を成功させる姿は本当に素敵だ。
トラウマやPTSDを抱えながらアルゼンチンで生きていくことは並大抵のことではなかったはず。
人生の締めくくりを考えた時に
ポーランドに行こうと決意した彼の勇気に心からの敬意を…。