僕、言葉が好きなんです。
話し言葉も、書き言葉も。
営業としての仕事も、毎夜レビューを書く事も。
言葉の力ってあると思うし、時に人の心を変える事もあると思う。
初版発行まで70年以上の歳月を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典」。その礎を築いた二人の男の物語。
19世紀、独学で言語学博士となったマレー(メル・ギブソン)は、英語辞典編纂計画のプロジェクトに心血を注ぐ。困難を極める作業の中、博士に謎の協力者が現れる。その協力者とは、殺人を犯し精神病院に収監されていたマイナー(ショーン・ペン)だった—— 。
Aから始まり、それぞれの言葉の意味を17世紀やら18世紀の書物から文章を引用し、定義付けていく。気の遠くなる様な作業。
「舟を編む」の欧米版。
メル・ギブソンとショーン・ペンという、レガシー級のW主演だけど、心奪われたのは、ショーン・ペンの演技の方。
妄想により、無実の男を殺してしまった男、マイナー。罪の意識に苛まれながらも、未亡人となった被害者の男の妻との交流を続けていく。
その細やかな心の機微を演じつつ、徐々に壊れていく精神を、繊細に、時に大胆に演じるショーン・ペンの姿に改めて脱帽。この人は、やっぱり上手い。
夫を殺されたのに、心惹かれてしまう。
未亡人イライザを演じたナタリー・ドーマーにも惹かれる。アニャ・テイラー=ジョイや、多部未華子タイプの、美人じゃないのに、心に残る女優さん。
そして、イライザとマイナーを繋ぐ看守役にエディ・マーサン。ホビットみたいな小さなおっさんだけど、好き。推しです。
マレー、マイナー共に、彼らを陥れようとするヴィランがいて、特にマイナーに施される荒療治に絶句してしまう。しかし、その治療中とその後のマイナーの姿を目の当たりにし、更にショーン・ペンの演技力に対する格が上がる。
途中どうでも良くなってくる辞典編纂作業とメル・ギブソン。
ドラマの焦点が途中からズレてしまったのは、些か残念ではあるけど、(ショーン・ペンの)良質な演技を心ゆくまで堪能出来て、個人的には満足。