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博士と狂人のayutakaのネタバレレビュー・内容・結末

博士と狂人(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

大人映画『博士と狂人』
~「言葉」は、人が人として成すために~

純粋に愛を捧げる気持ちと、
愛するが故に束縛する気持ち。

家族を護るための仕事中毒と、
家族と居るための適度な労働。

それぞれのバランスは異なるし、
難しい。

〉〉

ある言語マニアの
スコットランドの男が、
イギリスの名門大学から、
世界共通語でもある「英語」の辞典を
作ってくれと抜擢される。

一方、軍医の経験したが故に精神が不安定なアメリカの男は、6人の子供を持つ男性をその奥さんの眼前で、幻想によって射殺してしまう。

一見、何の接点もない二人が、
活字が載っている「本」によって、
出逢い、友情を育んでいく。

という話だが、
凄く惹かれてしまった。

この作品の素敵な所は、
物語の通過点でもある被害者や脇役を
きちんと物語に取り込み、
置き去りにはせずに厚みを
与えてくれる。
どこか物語に「我関せず」みたいな顔をしている輩も徐々に加わってくる。
観ていてワクワクした。

しかしながら、それは後半手前迄(笑)。
ビター混入率の高い大人映画は
そう簡単にはいかない。

それは高純度故なのか?
全体の甘さ故に引き立つ苦味なのか?

それは各々判断頂きたい。
コロナ禍による邦画ばかりの中、
素晴らしい洋画でもある本作。
オススメです。

〉〉

『マッドマックス』シリーズや
『リーサルウェポン』シリーズでの
憧れだったメル・ギブソン。
もはや、あの精悍さは無いけども、
名優ショーン・ペンとの熱演は、
違う意味で熱くなる。
※看守役のオジサンが凄く良い。

〉〉

どんなに科学や世界が進歩しようとも、
(変化はあっても)言葉は
無くなりはしない。
SNSだろうがメールだろうが
言葉は不可欠。

うちの息子が、
「理科のテスト92点だったけど、
先生の採点ミスがあって。。
嫌だったけど伝えて90点に
なっちゃった。。」
と残念顔に、

オヤジである自分は、
「お前のその正直な気持ちは、
満点だよ。」
と言ってやった。

ニンマリとした息子を見て、
改めて今後も
救われる言葉を紡ぎだして
いきたいものです。

※Facebookにて既掲載。
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