ブラックユーモアホフマン

ライトハウスのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.2
ク◯ゥルーーーーー!!!!!実にク◯ゥルー。魔女の次は◯◯か……。(このレビューは極力ネタバレを避けてお送りします)

前作『ウィッチ』は、映像のセンスと物語の各モチーフは凄く好きだったけど、脚本がもうひとつというところで惜しい印象だったロバート・エガース。

本作は製作が発表された時から楽しみにしていたがなかなか日本公開されず(そういえば前作『ウィッチ』もなかなか日本公開されず、トレイ・エドワード・シュルツの『イット・カムズ・アット・ナイト』とセットみたいな形でやっと公開されたのだった)まあ一応、待ちに待った、という形。

狭い画角とモノクロの映像は、なかなか良い。名作の風格も漂わせるのだが、良いのか悪いのか分からないが編集はさすがに現代的。狭い画角でモノクロなら編集も古い映画みたいにしろ、とは言わないが、少しここは好みから外れる。

また会話シーンの人物の切り返しが凡庸で退屈。んー最近の映画はよくこれを思うなぁ。そんなに律儀に忙しなく切り返す必要ないんじゃないか。オフで声だけ聞こえてるような演出の方がむしろその場の空気が伝わると思うのだけど。
(21/7/24 追記:今日改めて考えて思ったのは、恐らくこれ、複数のテイクを組み合わせて使いたい時、切り返さざるを得ないんだろうなということ。長回しでそのまま使うとなると、それだけ演技に精度が求められるので難しいのは当然。)

1時間49分。長いような短いような。今の内容(特に結末。オチの付け方)であればもっと展開を減らしてタイトにまとまってた方が面白いと思う。
が、展開のさせ方次第ではもっとじっくりゆっくりたっぷりのーんびり、いっそ2時間半とかにもできなくはないと思った。

モチーフは今回もすごく好きです。好みが合う監督だとは思うのだけど、だからこそ、なんか惜しいなと感じてしまう。『ウィッチ』よりは断然良かったけど。

一番の問題は、超常的な存在が2つ出てきちゃってること。その2つが上手く噛み合ってればいいが、まあ監督なりの理屈はあるのかもしれないけど、少なくとも僕には関係ない話に見えた。
どちらの話がしたいのか。絞った方が良かったと思う。

あと狂ってくプロセスがくどい。酔っぱらうくだりが一回分多いと思う。ダンスシーン。凄く良いシーンだけど、全体の流れから言うと余計。

キャスティングに関して。『ウィッチ』のアニャ・テイラー=ジョイも実は違うんじゃないかと思ってるのだけど、今回のロバート・パティンソンとウィレム・デフォーも……有名俳優の中ではベストなキャスティングだと思う。のだが。
より望ましいのは、無名の俳優。まさにこの役を演じるために生まれてきたような、役にこの上ない実在感を与えられる俳優。フィクション性の高い話だから、それを知ってる俳優が演じてると、”所詮フィクション”感がどうしても出てしまう。突拍子もない話は観客に茶番だと思わせたら負け。(その点、アリ・アスターの『ヘレディタリー/継承』は有名俳優を使っておきながら茶番とは思わせない、力のある脚本と演出だったからすごい。)

それに登場人物はほぼ2人だけ、シチュエーションもほぼ変わらないという中で、会話劇が主な内容だから、よく知られた俳優が演じていると、演劇的になりすぎる。

しかしこれが本当に灯台守なんじゃないかと思わせるような無名の俳優がやっていれば、ドキュメント的になり説得力が増す。
まあもちろん、資金集めとかの為に有名俳優を起用せざるを得ない背景なんかもあるとは思うけど。ちょっとポップになってしまうのが勿体ない。

最後のパティンソン、完全に『ウィッチ』の最後と同じだったな……笑 もっとレパートリーないんかエガース!!笑

んーー面白かった。すごく好きだったけど、今回も少し惜しい。

【一番好きなシーン】
なんだかんだでオープニングかな笑
あと一回目の夢。
シーンごとで言えば全部好きなんだけど、その繋ぎ方よね。