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いつだってやめられる 闘う名誉教授たちのbirichinaのレビュー・感想・評価

4.0
先の2本がかなりコメディに寄っていたのに対し、ドラマがあった。事故で負ったやけどの痕が顔に残る一匹狼・通称ムリーノ(ウツボの意味、体にウツボの模様っぽいタトューがある。造船工学の研究者だったがお払い箱になり、アフリカからコカインを運ぶ高速船の開発に手を貸した経歴あり。存在感があって◎)とルイジ・ロ・カーショ演じる元化学研究者の関係、大学や社会に対する彼らの恨みが明らかになり、物語に引き込まれた。
イタリアには優秀な研究者たちが活躍できる環境がなく、優秀な人材が海外の大学や企業へ行ってしまうという社会現象がある。確かにこの物語のような待遇では人生に失望する研究者が出てくるのは当然だろうと感じた。2人の大学生(エドワルド・レオと友人の太っちょの学生時代を彷彿させる)が「卒業したらどうする?」「わからないけど、何か考えるさ(Sai che non lo so, qualcosa ci inventeremo, no?」(起業とか技術開発の意味か? まさか合法ドラッグ開発のような悪の道を意図してはいないと思うが)と言うシーンがある。イタリアもアメリカのように優秀な若者が企業などして活躍できる社会になればいいと心から願うが、ルイジ・ロ・カーショが言うように大惨事でも起きない限り社会は変わらないだろうと感じた。

・第1作の冒頭のスイッチの故障シーンが第3作の伏線になっているなど脚本がうまいと思った。
・主人公が刑務所で受刑者たちに理科の授業をしてもらえる報酬が月額800ユーロとは、けっこう好待遇では?
・全編通して、主人公が着ているTシャツのデザインが気になった。
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