すずや

ザ・プレイス 運命の交差点のすずやのレビュー・感想・評価

4.3
視点が主人公の男から動かないから『ギルティ』的なものを想像していたら違った。むしろその視点の固定は本筋に関わってなかった。
互いに混じりあっていくそれぞれの欲望。その伏線回収はなかなか良かった。

テーマは"人間の欲望"。自分の愛する者、欲しいもののためには、人はいとも簡単に他人の運命を変えてしまう。その醜さをあらわにさせる主人公と相談者の会話だった。相談者自身もまた、他人の運命を変えるほどに自分の欲望に意味があるのか深く向き合っていた。自分がこの欲望を叶えようとしたとき、何を感じたか。なにを思ったか。
相談者が主人公に「この怪物が」と言い残して去っていくシーンが心に残っている。でも、相談者のなかに今まで持っていた人間皆の醜さが顔を出しただけで、なにも主人公だけが怪物なわけじゃない。そんな意図で放たれた「怪物に餌をやっただけだ」というセリフのなんと重い事か。

とにかくめちゃくちゃ疲れたんだけど、この疲れは、主人公自身が感じた疲れと同じだったんだろうな…
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