イチロヲ

団地妻 雨やどりの情事のイチロヲのレビュー・感想・評価

団地妻 雨やどりの情事(1977年製作の映画)
3.5
倦怠期に陥り、子育てを押し付けられている団地妻(宮下順子)が、別人格を取り繕うことにより、虚構の世界へと逃避を始めてしまう。生き甲斐を模索する人妻の性体験を追っている、日活ロマンポルノ。

一人きりで子供を世話しながら、深夜まで夫の帰宅を待つ。そして、愛情のこもっていない、無気力なセックスに勤しむ。そんな、ロボットのような生活を強制させられている若妻のフラストレーションの爆発。

主人公に接近する青年(堀勉)もまた、労働者としての素顔を隠しているところがキーポイント。「人間の二面性を合理的に活用した生活に充足を得る」という、ロマンポルノの普遍的テーマが扱われている。

本作のヒロインの行為は、「客人にとって、都合のよい恋人像」を演じている風俗嬢と表裏一体。逃避を突き詰めた先には、一体何があるのか。その世界を捉えている、クライマックスのトランス描写が秀逸。
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