ちろる

ホワイト・ボイスのちろるのレビュー・感想・評価

ホワイト・ボイス(2018年製作の映画)
3.5
資本主義の暴走は、想像を絶する格差を生む。
持つ者は永遠に持たざる者を搾取し続け、後者はやがて拳を振り上げる力もなくし、前者はより一層力を増す。
その皮肉な社会の構図をとんでもない形で表現したブラックコメディ。
ん?ブラックコメディ?もうわたしはこれはとてもコメディには思えないよ・・・

自分を持ってるパフォーマンスアーチストのガールフレンドと過ごして、何も取り柄が無い自分に嫌気がさしているカシアスが、ようやく見つけたテレマーケティングの仕事。
成果が上がらず落ち込んでいると、先輩の黒人男性に『ホワイトボイス』という白人風の声を出す技を教えてもらう。

みるみるうちにこの技で、仕事の成績を上げてパワーコーラと呼ばれるトップセールスマンとなったことで仕事にやりがいを感じ始めるカシアス。
しかし、その一方で同僚たちは売上の多くを搾取し続ける幹部たちに反感を持っていて、労働組合を作ろうと計画している。

仲間とは一緒にいたいし嫌われたくない。
しかし、自分の実力をかなり評価してくれてる上司にももっと認めてほしい。
だいぶ八方美人で、卑怯ではあるが正直(分かるわ〜カシアス!)と同調してしまった。
取り柄がないと思ってたのに、こんな特別評価されるんだよ。そりゃ舞い上がるわ。

自分の良心や信念と乖離して出世欲が増してどんどんドツボに入っていくカシアス。
恋人のデトロイトとも親友サルバドールとも距離が離れていくわけだが、この仕事の終着点、実はとんでもないことになってしまう。

途中までは、(ホワイトボイス)が出てくるシーン以外いたって驚くほどのものでもないのだが、だからこそのラストの展開。
怖い?というより何だこりゃあ!となります。
SF?と言っていいのかわかりませんが、何度も語られてるテーマを間違いなく新感覚で見せてくれるので、ちょっと変わったやつ観たいなぁーって人にはおすすめ。
私は100%理解できてはいませんがね・・
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