ちろる

21世紀の女の子のちろるのレビュー・感想・評価

21世紀の女の子(2018年製作の映画)
4.0
女の子はいつも曖昧な感情で生きている。
アンニュイでもエキセントリック、薫り立つような女の子の時間は短くて、きっと若い感性じゃないと描けないから、こんな企画がある事は素晴らしいなと思う。
どれも、微睡みのような雰囲気が心地良い、エモい映像集。

「ミューズ」
小説家の旦那の小説の中に閉じ込められた中村ゆりさんが本当に美しい。
きっと、救い出して欲しかったわけではない、ただ泡のように消えてしまいたい。

「Mirror」
自分の枠に縛られてしまったカメラマンの女と元カノ。
カメラでのシャッター音が愛おしかったあの頃は過ぎ去って、カメラのシャッター押すあなたが憎らしくて仕方ない。
やっぱり朝倉あきさんの声綺麗だな。

「out of fashion」
落ちるグミの映像から、色彩にセンスがある。
うちが割と文化服飾の近くにあるのだけど、
いつだってあそこには夢や希望が満ちていて、でもその中の一部は森田みたいにわけわかんない人種になるのだとしたら切ない。

「回転てん子とどりーむ母ちゃん」
チャイニーズマフィン❤︎かわいい。
独特な映像は毒々しいけど好き。
どんなとんでもない夢みとるんだてん子よww

「恋愛乾燥剤」
くすんだ緑みたいな映像と、ショッキングピンクのコントラストがかわいい。
恋愛とはなんぞや??
そんなもん分かんなくていい。
なんか世にも奇妙な物語みたいだった。

「projection」
ここは、物語の外。
伊藤沙織さんはガサツな役が多いイメージだったけどこんな内気な女の子もピッタリハマるんだね。
シャッター音と共に、物語の外にいたのに、いつの間にか主役になっていく主人公がどんどん魅力的になっていく。

「I wanna be your cat」
なんだか気持ち悪い男女だけど、木下あかりさんのクセの強い演技がすごい。
なんだこりゃ?
この男がちょっと何言ってるか分かんない(富澤風)

「珊瑚樹」
レズビアンごっこみたいな、実在のないようなそんなつかみどころのないストーリー。
ラストの桜のシーンは綺麗。

「愛はどこにも消えない」
王子様のいないお姫様はいない・・・
恋に恋い焦がれる孤独な女の物語
橋本愛のPVみたいな作品だけど、ストーリーは楽しかった。
消えたヒロトを探す主人公。
ヒロトは幻想だったような、そんな気がする。

「君のシーツ」
清水くるみのセックスシーンちょいエロい。
妄想の中でだけ、本当でいられる。
シーツの中のまどろみの世界。
起きた後の世界が嘘なのか?

「セフレとセックスレス」
セフレって気持ちよくなくなったらお終い?
どちらかが好きになったとしたらお終い?
ラブホの一室で繰り広げられる2人の会話。
「ずるいよ」だけで伝わる2人の複雑な想い。

「reborn」
心の半分は海にある。
わたしがわたしであるために必要な何かを探してる。
内面世界に閉じ込められて迷子になったような女の子。
ちょっと厨二病風?

「粘膜」
もしタバコを吸ってたら、こんな風に色っぽく火を交換できるのだろうか?
いや、無理だ。
久保陽香さんの粘度のある演技と、日南響子さわのビッチぶりのコントラストが良い。

「離ればなれの花々へ」
花園に閉じ込められたい。
いずれ朽ち果てると知っていても無限に女の子でいることを望む。
地球に生まれる事は、やがて苦しみを伴うけれど、自由で幸せである母を愛し愛されるためだけに生まれ、孤独を知り、女の子という芸術を作り出す。
楽園での終焉を受け入れながら、はなればなれの花の少女たちは今ここに満開の花を咲かせる。

エンディングのアニメーションと歌も温かくって好き。
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